今回のサマープログラムは実践事例紹介と特別講演の2本立てで実施しました。
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実践事例紹介は「難聴生徒のQOLを高める意識を持たせる指導」という,AT-Okinawaではあまり報告に上がってこない,聴覚に困り感を抱えている生徒の報告をうるま市立伊波中学校の久貝元香先生にお願いしました。久貝先生の報告前半の取り組みは,昨年度(平成25年度)の「魔法のランププロジェクト」の取り組みの内容でした。
・母親と待ち合わせの場所や時間の確認で公衆電話を活用しているが一方通行のやりとり
・周囲が思うほど情報を習得していない
・中学校までを「遠い」と表現している
それらの情報から久貝先生が指導した内容を,
・iPadを活用して、メールの送受信ができる
・iPadを身近なものとして、いつでも情報収集できる環境にする
・公共交通機関(バス)で単独行動ができる
を中心に報告してもらいました。
難聴者向けスピーカー「COMUOON(コミューン)」を借用しての取り組みや,校外学習で株式会社アイセックジャパンへの会社訪問等の取り組みを報告されていました。
アイセックジャパンは,リアルタイム文字通訳サービス「e-ミミ」を提供している企業で,今回の久貝先生の発表も久貝先生の言葉は会場内のスクリーンに表示されていました。社員の中にも聴覚障害者の方がいらっしゃるみたいです。
久貝先生の生徒とその方たちとのコミュニケーションも楽しかったみたいで,生徒たちからまた行きたいという感想があったそうです。
伊波中学校に転勤されてまだ2年目ですがこのような実践ができる久貝先生のすごさをまた目のあたりにすることができ、とてもうれしい発表でした。
機会があれば同じ内容でもいいので,もう1回AT-Okinawaで発表していただき,一人でも多くの先生とこの情報を共有したいと思っています。久貝先生ありがとうございました。
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続いて,特別講演「タブレット端末を使った読み書きの支援」島根県松江市立意東小学校の井上賞子先生です。井上先生の紹介はもういいですよね。全国、各地のLD研やATAC、魔法のプロジェクトで大活躍の先生です。
それは児童生徒が何で困っているのか(現象)、なぜそうした困難が生じるのか(困難の背景の予想)、どんな支援が必要か(手立ての選択,教具を含む、iPadも選択肢の1つ)ということがきちんと押さえられているので,理解しやすい、落とし込めるということがあると思います。
実際の授業での実践を踏まえて,事例を紹介していただきました。
1つ目は漢字学習で活用しているBさんの事例として大辞林や筆順辞典、7notes for iPad、例解学習国語辞典のアプリを活用した事例でした。
iPadを活用することで,自分自身で漢字の直しや調べることができるようになり,「自分でできる」という自信がつき進んでできるようなり,振り返り日記や週末日記で書ける漢字の割合が増えていくというものでした。
その後の取り組みとして,楽しく学べる漢字シリーズのアプリや読み上げペン サトシくんの活用で音声の情報を活用し音読の学習の取り組みを紹介していただきました。
「読める」を支える取り組みとして,「First Word Japanese」や「これなぁに」,「ひらがな50音」のアプリの活用。
「書ける」を支える手段として,「こどもレター」や「にほんご ひらがな」のアプリ活用。「伝わる」を支える手段として,「Drop Talk HD」「PhotoMemes」の活用を報告していただきました。
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久貝先生、賞子先生のどちらの発表でも,子どもたちの困り感をきちんと捉え,どのようになってほしいのか,どうしたら困り感を少しでも解消していけるのかを見据え,どのような支援をしていくことがいいのかということが,きちんと押さえられていた発表でとても勉強になりました。これからの実践で押さえていかなければいけないことの確認や,自分の引き出しの中身を増やしていくことができました。
今回のサマープログラムは,夏休みの取り組みなのにお知らせが遅くなってしまい,参加者が少し少なかったのが残念ですし,反省点だと思っています。
申し訳ありませんでした。9月5日を予定していますが,あらためて内容等も踏まえてお知らせしたいと思います。
今後ともAT-Okinawaをよろしくお願いします。
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