2015年12月10日

第6回学習会 レポート

森川特別支援学校 野口です。
先週の第6回AT-Okinawa学習会の報告を致します。
今回の実践発表は「学び方に困難がある生徒の未来への支援~肢体不自由生徒へのiPadを活用した支援を通して~」というテーマで鏡が丘特別支援学校の澤岻圭祐先生にお話しして頂きました。

特別支援から普通校を受験する生徒を対象とし、書字に困難があり、構音障害のある生徒への受験対策、受験方法の大学への提案などに取り組んでいった経緯についてのお話でした。

まずは「学びのスタイル」の確立で、iPadとPCを机に置き、生徒はPCにトラックボールを使って文字入力を行えるようにした。
そして、それを全ての教科で同じように活用できるようにした。

これにはたくさんの人から、「どのようにして全教科の職員に同じように活用させることができたのですか」という質問がありました。
回答としては、まずは実践して示し、澤岻先生が全ての教科に入り、環境づくりを行った
ということでした。
また、模擬試験でも紙媒体の問題をiPadに、回答をPCに入力という機器の活用を練習させて、成績も着実に伸び、大学受験もこのスタイルで受け、合格へと導いたそうです。

そして、澤岻先生は大学に受かった生徒の今後を見据えて、実際に大学の授業を生徒に体験させたり、澤岻先生自らも授業に参加したりして、残りの高校生活でどのように大学の授業に対処していくかを模索しています。

大学には障害のある生徒にICT機器を使って授業が受けられるようにするノウハウが整っていない所も多いため、大学に設けられている福祉相談室へのアプローチを試みているとのこと。

そして、大学の面接では生徒が「自ら授業でPC、タブレットを使わせてください。」と要望したというエピソードも聞くことができました。

まずはICT機器の活用が有効な生徒には、特別支援学校の全職員でその環境づくりをバックアップし、生徒に「私にはこれらの機器が有効だ」と実感させる必要があるように感じました。
また、大学に行ってもICT機器が必要であることを自ら訴えていく力をつける必要もあると感じました。
大学にこのような環境を整えていくような要望をもっと大きな力で進めていきたい
ですね。

その後、泡瀬特別支援学校の山口飛先生から「合理的配慮とICT活用」というテーマの話題提供がありました。最近話題になっている「20年後、現在の仕事のほとんどが機会によって代行され、今は存在しない仕事が増えているだろうとの予想」「バックトゥザフューチャーから昔と今の機器の比較」などの興味津々な話。

そして、合理的配慮の考え方、具体的な事例から公平か不公平かを考えるなど、海外での判例の紹介がありました。

また、これまで飛先生が実践してきた「読み」「書き」に困難を抱える児童がICTを活用することにより、この困難さがどれほど軽減されるかをグラフ等で示してくれました。

本日は二つの話が繋がり、合理的配慮についての知識とこれから特別支援教育で発信していかなくてはならないことなどを参加者がそれぞれに感じ取った学習会になったのではないでしょうか。

今年の学習会はこれにて終了です。
みなさん、少し早いですが良いクリスマスと良いお年を!

次回の学習会は後日連絡いたします。