2017年2月26日

第6回学習会 レポート

こんにちは,赤嶺です。
AT-Okinawa第6回学習会は,那覇特別支援学校で行われました。

今回ご紹介いただいた2つの実践事例は,それぞれ知的障害校と肢体不自由校におけるコミュニケーション支援です。


1つ目は、西崎特別支援学校の圓雅之先生から,実践事例「一人一人の特性に配慮した指導の取り組み~VOCAを活用し,伝えたい意欲を育む指導を通して~」を発表していただきました。
対象児は,他者に自発的に関わろうとする行動がほとんどなく,教師に掴みかかったり噛み付いたり,教室を飛び出したりなどの不適応行動のある自閉症のお子さんです。
「気持ちを伝える手段がなく,伝わらないというストレスを抱えていること」が,行動の背景にあると捉えた圓先生は,スーパートーカーやiPadを活用して,コミュニケーション支援を行いました。
対象児は,伝わったという安心感や伝えたい意欲を高め,不適応行動が減少していきました。
また,その安心感や意欲をベースにして,次第に他者と関わろうとする場面が増え,コミュニケーション能力の向上が見られたことが客観的な指標によって示されていました。
問題行動の減少を目的とする実践はよく見られますが,思いが伝わる成功体験をもとにさらなる自発的な意志表出を目指したところが,この実践の重要な点だと思いました。
これは,対象児のQOL向上に欠かせない視点です。

会場からは「スーパートーカーやiPadを使うことと写真カードを使うことの違いはどこにありますか?」と質問がありました。
これに対して圓先生は「写真カードだと直接手渡すことになり教師と1対1のやりとりになる。スーパートーカーやiPadだと音声で“〜してください”と伝えられる。周りにいるみんなに伝わるし,みんなが振り向いてくれる利点があって人間関係の拡がりが期待できる」と答えていました。

2つめは,大平特別支援学校の初任者の宮城悠先生から,昨年度那覇特支での実践事例「自分の気持ちを伝える楽しさ,伝わる喜びDropTalk HDを活用して~」を発表していただきました。
脳性麻痺のため筋緊張が強く,発声や表情,ジェスチャーで何とか気持ちを伝えようとする対象児。

「上手く伝わらない...」という対象児のもどかしさに寄り添い,「どうにかして気持ちをわかってあげたい,伝える手段を確保してあげたい」という悠先生の熱い想いがとてもよく伝わってきました。
学校内だけでなく対象児が入所する施設内でもiPadが活用できるように連携を図ったところが,この事例の特に優れた点です。
実際に,施設内でもiPadが活用され,施設職員がDropTalkのシンボルを作成するまでになったと報告がありました。

この点については,会場からも質問がありました。
悠先生は「iPadDropTalkの使い方を丁寧に説明することはもちろんだが,振り返ってみると①施設職員との日頃のラポート作り,②対象児の変容を共有すること,が大切だと思う」と答えていました。

なんと,どちらの事例も発表と質疑応答が半々!
レベルの高い実践に活発な質疑応答!
今年度最後の学習会はまさに神回でした。






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